四十肩・五十肩はなぜ起こる?痛みの仕組みと回復までに知っておきたいこと
- 柾行 神田
- 1月8日
- 読了時間: 6分
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、ある日突然肩が痛くなり、腕が上がらなくなることで日常生活に大きな支障をきたす症状です。「何かの拍子で痛めたのかな?」と思われる方も多いのですが、実際には肩関節周囲の組織が少しずつ硬くなる過程が背景にあることがほとんど。
痛みは強く、長い期間続くケースもありますが、正しい知識とケアを行えば回復は十分可能です。四十肩・五十肩の特徴や進行の流れ、セルフケア、専門的な施術について分かりやすく解説します。
四十肩・五十肩の特徴と「進行の3段階」
四十肩・五十肩は、痛みの強さや肩の動かしにくさが段階的に変化していきます。ある日突然痛みが出ることもありますが、実はその前から肩関節まわりには負担が蓄積していることが多いです。ここでは、一般的にみられる3つの進行段階に分けて解説します。

① 急性期(痛みが最も強い時期)
急性期は、肩を少し動かすだけでも「ズキッ」と痛みが走る時期です。寝返りだけでも痛みが出る、夜中に痛みで目が覚める、じっとしていても肩まわりがズーンと重く感じるなど、日常生活に大きな負担となります。この時期は炎症が強く、無理に動かしたり、勢いよくストレッチをすることで悪化するおそれがあります。「何もしていなくても痛む」というのは、まさに急性期の典型的なサインです。安静を心がけつつ、悪化させないことを優先した対応が必要になります。
② 拘縮期(動かしづらさが目立つ時期)
急性期の激しい痛みが落ち着いてくると、次に訪れるのが拘縮期です。この時期は痛みそのものは少し楽になってくる反面、肩が思うように動かなくなるのが特徴。「腕が横に広がらない」「背中に手が回らない」といった動作制限が顕著になります。関節周囲の組織が硬くなり、可動域が狭くなることで日常生活の不便さが続くこともあります。焦って無理に動かそうとすると痛みが戻ることがあるため、段階に合わせたアプローチが重要です。
③ 回復期(動きを取り戻していく時期)
拘縮期を過ぎると、徐々に肩の動きが戻ってくる回復期に入ります。まだ完全とはいえませんが、動かすたびに痛むというよりは、硬さが少しずつほぐれていくような感覚が得やすくなります。この時期は、適度なストレッチや可動域を広げるための運動が効果を発揮しやすく、適切な施術とセルフケアを組み合わせることで回復スピードが変わってくることもあります。ただし、やりすぎると炎症が再燃する場合があるため、身体の反応を確かめながら進めていくことが大切です。
四十肩・五十肩が起きる原因とは?
四十肩・五十肩は単純な「加齢現象」ではなく、肩の構造や生活習慣、人それぞれの身体の使い方が複雑に影響しています。原因を理解しておくことで、その後のケアや予防がしやすくなります。
肩関節の構造の特殊性
肩関節は人体の中でも最も可動域が広い関節の一つですが、その分不安定さを筋肉や靭帯、関節包が補う形になっています。多方向に動けるぶん、細かい組織への負担も溜まりやすく、年齢とともに組織の柔軟性が失われていくことで炎症や硬さが生じることがあります。この「関節包の硬さ」が四十肩・五十肩の大きな原因の一つとされています。
姿勢の崩れと肩の使い方の偏り
デスクワークが多い方にしてみれば、肩が内巻きになった姿勢(巻き肩)や猫背が習慣化しているケースは珍しくありません。こうした姿勢は肩関節の前側を圧迫し、奥の組織に負担をかけやすくなります。さらに、腕を上げるときに肩甲骨が十分に動いていないと、肩関節だけに負担が集中し、四十肩・五十肩を発症しやすい傾向があります。
運動不足・血流不足
肩関節周囲の組織は、血流が悪くなると柔軟性を失い、動きが固くなりやすくなります。運動量が少ない方は肩周りの筋肉や関節包が硬くなり、何かの拍子に炎症が起きやすい状態になっていることがあります。また、冷え性や長時間同じ姿勢が続く環境も血流低下の要因となり、症状を長引かせる原因になることがあります。
四十肩・五十肩のセルフケアと日常での注意点
四十肩・五十肩は、適切なケアで改善の見込みが十分ある症状です。しかし、時期によって行うべき対策が異なるため、状態に合わせた方法を選ぶことが大切です。

急性期は無理に動かさないこと
痛みが強い急性期は、「どれだけ動かすか」ではなく「どれだけ悪化させないか」がポイントになります。無理にストレッチをするのではなく、痛みが軽くなる姿勢を見つけて過ごしましょう。保冷剤での軽いアイシングや、腕の重さを支える姿勢を工夫するだけでも負担が和らぐことがあります。炎症が落ち着くまでは過度な刺激は避けたほうが安全です。
拘縮期は小さな動きから柔軟性を回復させる
拘縮期には、痛みが強くない範囲で軽いストレッチや可動域改善の運動を始めると、肩の動きを取り戻しやすくなります。たとえば、タオルを使った腕の挙上運動や、肩甲骨を回す体操は比較的取り入れやすい方法です。ただし、「痛気持ちいい」を超えるような強い負荷は逆効果になりやすいため、無理のない範囲で行うことが大切です。
回復期は筋力と動作のバランスを整える
回復期に入ってきたら、肩だけでなく肩甲骨や体幹の筋肉も連動させながら動かす練習を取り入れると、再発予防に役立ちます。肩は単独で動く関節ではなく、肩甲骨・胸郭・体幹が協力し合って動いています。これらがスムーズに連動するようになると、日常動作で肩に負担がかかりにくくなり、快適な状態を目指せるようになります。
整骨院での四十肩・五十肩へのアプローチ
整骨院では、痛みのある肩だけでなく、肩甲骨や胸郭、姿勢のバランス、関節の動き方などを含めて総合的に評価します。四十肩・五十肩は肩の問題に見えても、原因が背中や骨盤にあることも珍しくありません。

丁寧な評価で原因を見極める
どの動作で痛むのか、腕がどの角度まで上がるか、肩甲骨がどの程度動いているのかなど、細かくチェックしていきます。これにより、「なぜ肩が上がらないのか」「どの組織に負担が集中しているのか」が具体的に見えてきます。原因がはっきりすると、施術の方向性も明確になり、改善までの道筋がイメージしやすくなります。
筋膜・関節包・肩甲骨まわりへのアプローチ
肩前面の筋肉や腱、関節包(肩の袋のような組織)、肩甲骨の動きを中心に施術を行い、固さを取り除いていきます。無理な押圧ではなく、身体の反応を見ながら動かせる範囲を広げていく施術が基本となります。肩甲骨の動きが改善すると、肩関節への負担が軽減され、動かせる範囲が徐々に広がってくる方も多くいらっしゃいます。
日常動作を見直すセルフケア提案
施術だけではなく、肩に負担をかけにくい姿勢や動作のポイント、簡単にできる体操、ストレッチなどもお伝えします。動きのクセが原因で症状が悪化している場合、日常生活の見直しが改善の鍵となります。施術とセルフケアを組み合わせることで、再発しにくい身体づくりが期待できます。
四十肩・五十肩でお困りの方へ
四十肩・五十肩は、痛みの強さから不安になりやすい症状ですが、段階に合わせたケアを行うことで必ず改善は見込めます。「いつ治るのだろう」と不安を抱えたまま過ごすよりも、現状を整理し、できることから進めていくほうが早い回復につながります。つらい肩の痛みや動かしにくさが続いている方は、一度専門家に相談し、ご自身に合った改善プランを一緒に考えていきましょう。




コメント